あの「ROUND1」がアメリカで成功したことを皆さん知ってましたか?
2010年に1号店がOPENしたのを皮切りに、現在アメリカでは16店舗、年商は72億円にもなり、来年はさらに6店舗増やし、2025年には300店舗にするという壮大な事業展開を計画するほどの成功を収めた秘訣を、ニューヨークの店舗を訪れて、責任者の方からお話を伺ったり、自分なりに考えてみました。
なぜアメリカに進出したのか?
- 日本に110店舗出た段階でこれ以上日本では展開できない状態になった
- アメリカのGDPは日本の2倍、人口は3倍で、しかもこの10年間で人口が109%増加している
- 余暇を楽しむ層がターゲットなので、中国などの新興国よりも一人あたりGDPの高い先進国であるアメリカへの進出を考えた
なぜ成功したのか?
- 意外なことに、家族で楽しめる体験型のアミューズメント施設はアメリカでは少なかった
(未就学児の子供が遊ぶところと、大人が遊ぶところしかなかった) - ROUND1は、ファミリー層をターゲットに、店内を明るく開放的で清潔にして、ゲームスペースの比率を高めて、お酒やフード類を充実させた
- ゲームも、クレーンゲームや音楽ゲーム、銃で撃つゲームなどの体験型のゲームだけで、格闘ゲームのようなゲーマーが黙々とやるゲームは置いてないし、ゲーム機の音量は小さく、照明も明るいので、日本のゲーセンとは雰囲気が全然違う
- 度々報道されているように、アメリカでは百貨店やアパレルが大不振で、ショッピングモールからの撤退が相次いでいる
- ROUND1はテナントが撤退したモールの跡地に出店しているのと、集客力が強くてROUND1が出店するとモール全体の売上が向上するため、強気の価格交渉が可能で、かなり安い賃料で出店できる
(今や900の商業施設から出店のオファーが来ている)
面白かったポイント
- 客単価は1500円(日本は1700円)で、全体の売上の内ゲームの売上が半分、その中でクレーンゲームの売上が半分(25%がクレーンゲームの売上!熱狂的なクレーンゲーマーが売上に貢献している)
- もはやゲームセンターにボーリングなどの施設が付属しているかのよう
- 景品も日本の玩具やお菓子など(ガンプラやきのこの山とか)、アメリカでは手に入らない物が多い
- どのゲーム機を導入するかは、日本を観光したアメリカ人がFacebookなどで書き込んだ情報(このゲームが面白かった!とか)を元にニーズを把握して決定している
- 日本からはnamcoやSEGAもアメリカに進出しているがうまく行っていない。自社の製品しか置かないので、バリエーションが物足りない
我々IT業界にとって役立つ視点
- 物を売る店が衰退し、体験を売る店が伸びている
プロダクトの機能そのものではなく、ユーザーエクスペリエンスがますます重要 - 顧客の視点から、自社の強みを再定義する
ROUND1も、最初はボーリング場を中心に構成していたが、ゲームのニーズの強さを感じて、ゲームの比率を高めた