フィリピンの日本語フリーペーパー「プライマー」で働く日本人スタッフの方から、プライマーの取り組みをお聞きしました。

プライマーは創業11年で、紙ベースの月刊誌と年刊誌を発行し(日本語フリーペーパーで月刊誌と年刊誌を発行されているのはプライマーだけだそうです)、Webサイトも運営されています。

掲載されている情報は、レストランや旅行など、街歩きのガイドブックで、主にtoCですが、ここ3年位でtoBの掲載情報も増えていて、広告掲載収入型のビジネスモデルだそうです。日本だとホットペッパーみたいな感じですね。

2016年からは、英語版のフリーペーパーの発行、サイトの開設もされ、こちらは急激に伸びているそうです。

英語版の読み手は、外国人の駐在員や旅行者もそうですが、それだけでなく、ハイエンドのフィリピン人、そしてそんなハイエンドな生活に憧れる中間層のフィリピン人とのことで、同じコンテンツを英語化する(横展開する)ことで一気に売上が増えたわけで、ナイスなアイディアですね。

日本だと、フリーペーパービジネスはだいぶ頭打ちですが(フリーペーパーで情報を収集しようとする人が減っていて、だから企業も広告を出さない)、新興国ではフリーペーパーが受け入れられているし、日本クオリティで制作されたコンテンツは競合優位性が高いので、フリーペーパービジネスは新興国に活路がありそうですね。

このように今はすごくいい感じのプライマーも、創業当時はなかなか利益が出なかったそうですが(だから、日本語フリーペーパーも数多く現れては消えていったようです)、2012年くらいから語学留学やチャイナプラスワンでフィリピンの注目が集まり、日系企業の進出が増え、そこからとてもいい感じとのことで、商工会議所情報だと、2017年時点でフィリピン国内の日系企業は1500社ですが、2012年より前は600社だったので、倍増以上ですね。

日系企業の多くはペソを稼ぎに来てるというより、人件費の安さを活かしたBPOなどのアウトソーシングが多く、とはいえ中間所得層の増加に伴い、日系企業の飲食・サービス業の進出(ペソを稼ぎに来る)も増えているそうです。

飲食業と言えば、先日お会いしたValueAsia Philippinesの代表の三宅さんから、スパゲティの五右衛門が5年前に進出するも流行らず撤退した話を聞きましたが(フィリピン人にとってスパゲティは甘い味付けの柔らか麺なので、日本スタイルのスパゲティは受けなかったようです)、プライマーのスタッフの方からは、最近はハイクオリティの飲食店が人気を集めて増えているので、今のタイミングなら成功したかもとのことでした。進出のタイミングって大事ですね。

あとは、日本への観光がブームで(日本への観光ビザの要件が緩和されたこともあり)、観光ビザ取得の代行をしている旅行代理店には1日100件以上の申し込みがあって、朝から店舗の前でフィリピン人が行列を作っているそうです。すごい!

フィリピンに旅行や出張に行かれる方は、ぜひプライマーで情報収集をしてみてください。