インドネシアで法人向けの宅配弁当サービスを手がける「foodspot」のCEOの青柳さんとお会いしてきました。

青柳さんは前職の投資銀行時代に、インドネシアのスタートアップであったfoodspot社の案件に関わり、投資銀行退職後も当時の縁で同社に関わっている中で、株を買い取ってCEOに就任されたそうです。

同社は、会社で研修や会議がある場合などに大量の弁当を発注する際のプラットフォームサービスを提供しています。弁当の宅配が可能なレストラン数百件がプラットフォームに登録されていて、利用企業はfoodspotのサービス上で簡単に発注ができるということです(宅配は各レストランに任せていて、同社はあくまでもプラットフォームを運営)。

業績も順調で、今度、ジャカルタ以外の都市にも支店を設けるそうですが、このような法人向けの弁当宅配サービスって、インドネシアでは珍しくないのですよね。そこで僕から「競合優位性はどこにあるのですか?」と質問したところ、東南アジアのような非先進国でビジネスをする上での真理とも言える答えが返ってきました。

例えば、「請求書を送って入金してもらう」という業務を考えてみてください。日本なら、最近はMFクラウド請求書のようなクラウド請求システムも普及しているので、総務担当がボタン一つで請求書を送信して、あとは期日になれば入金がされているので、それを確認するというだけの、極めてシンプルな作業です。

しかし、インドネシアではそうはいきません。法律上、請求書に印紙をはらないといけないため、クラウド請求システムなんて使えません。紙の請求書をいちいち郵送する必要があります。しかし、インドネシアの郵便事情はよろしくないため、郵便が届かないことも日常茶飯事です。無事相手に届いても、郵便物を受け取った人が然るべき担当(経理)に手渡してくれるかも未知数です(その程度の作業が放置されることも普通)。さらに請求書が経理に回されても、入金がないことも珍しくありません。「督促されたら払えばいい」みたいなノリで、カジュアルに放置されたりもするそうです。

こういう、日本でビジネスをしていたらあり得ないような、想像を絶する小さなトラブルが山のようにあって、それらを根気強く潰していかないといけない、パワポ上の綺麗なビジネスプランなんて通用しない、競合優位性とかよりもまずはそこを乗り越えないといけない、ということでした。

これは本当にそうだと思いますし、だから東南アジアで起業している多くの日本人の方が、中核スタッフは日本人にしたり、日系企業を主なクライアントにしたりして、そういうトラブルが起きにくくしているのですが、青柳さんの場合、会社のスタッフ全員がインドネシア人、顧客企業もほとんどがインドネシアローカル企業ということで、そんな超アウェーな環境でビジネスをされていて、実に凄いなと思いました。

青柳さん、ありがとうございました!