中国の都市部では今や、多くの人がキャッシュレスアプリを活用して、現金を持ち歩かずにスマホで決済をするという話は、よく聞きます。
実際のところどうなのか、中国在住の方に聞いてみました。
中国の生活のデジタル化/eコマース
・EC化率は2017年で19.6%。5年で3倍になった。2016年のEC売上高6万8000元
(出典:中国電子商品研究中心)
・その原因は淘宝網(タオバオ)。2003年にAlibabaグループが開設したECサイト
・10億個ものあらゆるジャンルの品物が備わっている。楽天の10倍以上の規模。ユーザー数は3.7億人。1日約6000万人がアクセスする。
・中国での買い物=偽物なのでは?商品届かないのでは? そこでAlipayの仕組みを使うことで問題を解決した。Alipayがエスクローを提供(買主はAlipayで決済し、売主はそれを確認して商品を出荷し、買主は商品が問題がなければ決済を承認し、売主は支払いを受ける、という流れ)
・しかも1週間以内であればいかなる理由でも返品可能=顧客としては安心して購入できる
買い物、食事、なんでもデリバリー
・淘宝網で飛行機や新鮮なニュジーランドの空気を購入した人もいる!
・商品だけでなくサービスも購入できる。例えば日本に行くときに空港に車で迎えに来るとか、日本のレストランを代わりにに予約するとか
・「デリバリー代行サイト」というのもある。レストラン、スーパー、薬局、花屋、ペットショップ、チケットショップ、あらゆる店舗が登録されている。代わりに購入をしてくれて、オンタイムで自宅や職場までデリバリーしてくれる。
・街中、デリバリーのバイクが走り回っている
お財布なし キャッシュレス
・テンセントが利用者に行った調査では、100元(1600円)以下しか持ち歩かないと答えた人が40%、全く現金を持たずに外出すると答えた人が14%
・クレジットカードだと、個人間のお金の手渡しに使えないから不便
・Alipayは、金融機能が充実、安全(詐欺にあっても保証される)・特典(クーポン)が充実→オンラインでの買い物や高額な支払時に利用
・WechatPayは、とにかくユーザー数が多い→個人間のお金のやり取りに便利(割り勘とか、お小遣いとか、ご祝儀とか)
・芝麻信用(決済履歴などからその人の信用度をスコア化。「芝麻=ゴマ粒のように積み重なっていく信用スコア」という意味)
・最低350点、最高950点
350〜550:較差
550〜600:中等
600〜650:良好
650〜700:優秀
700〜950:極好
・画面で「免押」(=免除)が特典として表示されている。710スコアのこの人は、3つの「免押」(=免除)を与えられている。左からシェバイクの保証金、レンタカーの保証金、部件賃貸の保証金
・雨傘の無料レンタルとか、通話料を後払いに変更も可能
・さらに、ランクが高いと一定金額までは「無担保」でローンが組めたり、海外に行くときのビザの取得しやすくなったりなど
・Alibabaグループのあらゆるサービスを利用した際の取引記録と、政府のオープンデータベース(学歴・公共料金支払記録・裁判記録)から、スコアが変動する
・そのため、中国人のモラルが急激に向上している
・Alipayにお金をデポジットしておくと、普通の銀行の「定期預金」と同じくらいの利息がつく(4〜5%)。しかもいつでも使えるから便利
・Alibabaが政府と交渉をしてこのような仕組みを認めさせた。しかしつい最近になって政府が規制を強化。Alipayにデポジットした金額と同額の金額を中国の銀行に預けよ、とのこと
アプリとキャッシュレスが生み出すビジネス
・WeChatにはインスタみたいな写真投稿機能があるが、海外(日本とか)に行ったときに色んな商品(化粧品とか食料品とか)を購入して、その写真を投稿しまくり、友達から購入を募る
・ECサイトで知らない人、店から購入するよりも、友達から購入したほうが安心、安全。普通の個人がバイヤーみたいな活動をしている
・例えばヨーロッパに留学している学生が、ブランド品を買いまくり、それをWeChatの写真投稿機能で売りさばく。中国国内で購入するよりも割安だし、偽物の心配もないから、みんなその人から買う。その利益で、留学の学費を稼いでいる
日本でもメルカリによって服飾品の売り買いの流れが大きく変わりましたが(メルカリで買い、飽きたらメルカリで売り、まるでメルカリ内で物々交換をしているイメージ)、アリババは全ての物、サービスの売り買いの流れを変えてしまっていますね。