あのユニクロが、2014年5月19日(月)に、満を持して発表した、オリジナルデザインTシャツ作成アプリ「UTme!」の利用規約が、発表その日に大炎上して、翌20日(火)、あっという間に利用規約の改正に追い込まれました。
ことの顛末は当時のニュースでも解説されていますが、ようは、ユーザーが、そのアプリを使ってオリジナルデザインTシャツを作るためにアップしたデザインの著作権が、全面的にユニクロに譲渡されてしまうという、一方的な内容になっていて、それに気付いた人たちが、怒りの声を上げたわけですね。
渾身のオリジナルデザインを、ちょっとTシャツにしてみようと思って、そのサービスを利用したら、そのデザインの著作権がユニクロに渡ってしまい、以降自分がそのデザインを利用することができなくなるなんて、確かに酷い話ですよね。
私はこのニュースを見た時、「またか」と思いました。というのは、2008年3月に起きた、mixi利用規約炎上事件と、似たような状況だからなのです。
mixi利用規約炎上事件も、今回と同じように、ユーザーが投稿した日記の著作権について、mixi側に一定の権利が与えられる内容に、利用規約が変更されることになり、「mixiは、ユーザーの日記を勝手にマネタイズするつもりか!?」と炎上したわけですね。
結局mixiは、そのような内容には変更しないことにして、騒動は収まりました。ただ、mixi利用規約炎上事件のときは、あくまでも、投稿した日記について、「mixiに無制限な利用権を与える」というだけで、著作権そのものは、ユーザーに残されていました。
その点、今回のユニクロ利用規約は、ユーザーからユニクロに著作権が譲渡されてしまうので、さらにユーザーの反発を招いたのですね。
なぜこのような利用規約にしたのか、ユニクロの真意は分かりません。ただ、発表翌日にあっさりと利用規約を改正したということは、そこまで深く考えずに、「とりあえず会社側の権利は広めに規定しておこう」という素朴な発想でやってしまったのではないか、と思ってしまいます。
ちなみに、ネット上では、過去にユニクロは、デザイン公募企画を実施していて、その時は、著作権の譲渡が条件となっていたので、今回もその条件をそのまま流用してしまったのではないか、とも指摘がされました。真偽は不明ですが。
利用規約を作成するときは、「会社を守る」という意識も大切ですが、それだけでなく、「利用規約を見たユーザーがどう思うか」という点まで、意識しなければいけません。私も、依頼を受けて利用規約を作成するときに、常に意識しているポイントです。
あのユニクロといえども、それができなかったということからも、利用規約を作成することが、いかに企業にとって難しいのか、ということを感じたニュースでした。