ジャカルタ在住のコンサルタントの神成さんとお会いしてきました。

神成さんは2012年からジャカルタでビジネスをされていて、在ジャカルタの日本人ビジネス界隈に豊富なネットワークを持ち、コネクターとしても活躍されています。

今回神成さんからは、インドネシアの政治、宗教、文化、ビジネス環境など、幅広いテーマでざっくばらんに(かなり突っ込んだ)解説をしていただき、インドネシアを立体的に深く理解することができました!

以下、シェアして差し支えない範囲でシェアします。

(実際お聞きした情報の量はこれをはるかに上回るのですが…)

・インドネシアにおける経済圏は「JABODETABEK(ジャボデタベック)」。日本における東京を中心とした関東圏のようなもの。ジャカルタ(東京)を中心に、ボゴール(茨木)、デポック(千葉)、タンゲラン(神奈川)ブカシ(埼玉)と、隣接都市にそれぞれカラーがある

・ジャカルタは人口増で飽和状態。ジャカルタだけでモールが173あって、これ以上の新規出店は規制されている。だからジャカルタ周辺に出店している。商業施設も住宅も、今や開発はジャカルタ以外の都市

・インドネシア経済の9割を華僑が握っている。華僑はビジネスが上手い。例えば1000万円の元手があったら、100万円を10個やり、1〜2個当たったらそこに全力投入。

・名だたる財閥(コングリマット)は華僑。ローカルの大企業は全然ない。

・インドネシア1位がアストラグループ。自動車に強い。TOYOTAの車とHONDAのバイクをJVで持っている。売れ筋ラインナップを持ってる(日本の車が96%、バイクは99%)。

・2位がサリムグループ。飲食に強い。「Indo mobil Suzuki」と「Indo mobil Nissan」も持ってる。「Indo」と付けばサリムグループ。インドネシア国内に1万6000店舗あって毎年1000店増えているコンビニ「Indo Maret」。

・3位がシナールマスグループ。不動産・紙とパルプに強い。

・インドネシアは外資規制が厳しい。外資がインドネシアに進出するのは大変。「ネガティブリスト」というのがあって、資本比率上限や最低資本金が全業種で定められていて、インドネシア進出に際しては、この業種が行けるかどうか判断しないといけない。

・業種によっては外国資本が33%に制限されたり、1億円弱が最低資本金とされている。しかも数年に1度、需要と供給でコロコロ変わる。最近はEコマースが規制されている。一時は中国、韓国資本のEコマースが増えたが、最低資本金が10億円弱に引き上げられるなどの規制によって、一気に撤退。

・最低資本金の問題もあり、外国企業は大企業でないとそもそも進出すらできない。一般の日本人のインドネシアに対するイメージは、バリのジャングルと海くらいだが、実は世界第4位の人口を誇る東南アジアの大国。インドネシアでのビジネスはマイナーリーグではなくメジャーリーグ級

・とある農作物の日本大手企業が、インドネシアの農園を買おうと検討したが、その農園の運営会社がその日本企業の10倍の規模だった、なんて笑い話もあるくらい

・大企業であっても、外国企業が単体でやってもうまくいかない。ネットワークが重要な社会。「何をやるかではなく、誰と組むか」が重要。成功している外国企業は現地財閥と合弁会社を作って、彼らの力を借りている。もっとも、でかいところ組めばいいわけではなく、でかすぎると、本気で力を入れてくれなかったりとか

・スピード感も重要。目まぐるしくビジネス環境が変わる。数年前の状況とか、他国との比較なんてやっても意味ない。今は丸亀製麺のおかげでうどんも人気だが、数年前までインドネシアに出店していなかったから、うどんなんて全然認知されていなかった。社内稟議を通すためのエクスキューズ的な現地調査なんて、意味がない

・インドネシアでビジネスをやるなら「未来シナリオ」が重要。状況が目まぐるしく変わるインドネシアで、「5カ年計画」「10年計画」なんて言ってられない。例えば大統領選で誰が勝つかで経済がぜんぜん変わる。そういったチェックポイントで何が起きるか予測して、どう分岐するかを検討しておく。逃げられるようにしておく。

・日本は地道な改善で発展していく企業文化。劇的な変化ができない。インドネシアでは3段飛びで一気に変わる。ここ10年で劇的に経済発展した。インドネシアに対する認識をアップデートする必要がある

神成さん、ものすごく勉強になりました!ありがとうございます!