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従業員のうつ病が急増! メンタルヘルスの問題はどう取り組む?

最近私は、従業員のメンタルヘルスの問題について相談を受けることが増えています。相談のほとんどは、従業員がうつ病になって欠勤が続いているが、どうすればいいかという問題です。IT業界は、長時間労働や、ストレス負荷の高さから、従業員のメンタルヘルスの問題が、他の業界と比べて多いことは、間違いありません。

 従業員のうつ病は、会社にとって悩ましい問題です。

 中小企業にとって、従業員が一人欠けるだけでも、痛手になります。出来れば早く復帰して欲しいのですが、うつ病ともなると、対処を誤って症状を悪化させるわけにはいかないので、声のかけ方一つにまで気を使います。また、復帰が難しいのであれば、いつまでも籍を残しておく余裕はないので(代わりの従業員を採用しないといけないので)、なるべく早く退職してもらいたいというのが、正直なところでしょう。

 では、従業員のメンタルヘルスの問題には、どう対処すればいいでしょうか。

 それには、そもそも論になりますが、メンタルヘルスで問題が起きそうな人物を、採用時に見極めればよいのです。

 採用面接にあたって、メンタルヘルスに関する質問は、ついつい遠慮してしまいがちですが、心身共に健康に労働を提供してくれるか確認するのは、雇用主として当然のことです。直近1~2年間の範囲で、病歴はきちんと確認しましょう。

 また、職務経歴上、会社に勤務していない期間があったら、それがなぜなのか、きちんと確認しましょう。

 ストレス耐性のテストを受けてもらうのも良いでしょう。IT業界では、従業員のストレス耐性は、重視すべき項目です。

 ところで、うつ病を主張する従業員の多くは、もちろん本当にうつ病に苦しまれていますが、中には、単なるわがままで仕事をやりたくないとか、健康保険の傷病手当金の給付を受けるために、嘘のうつ病を主張する従業員もゼロではないでしょう。

 医師は、基本的に、本人(患者)の言い分が正しいことを前提に診断をします。ネットでも、うつ病の診断書を獲得するためには、医師にどんなことを言えばよいのかについても、懇切丁寧に解説されています。会社にとっては残念なことに、うつ病の診断書を取得するのは、決して難しくなのです。

 では、嘘のうつ病を主張してくる従業員に対しては、どのように対処すれば良いでしょうか。

嘘のうつ病を主張してくる従業員への対処法

 対処法の一つとして、本当にその人がうつ病かどうかを見極めてくれる、信頼できる医師を見つけて、会社指定医としておくという対策があります(顧問の社労士さんに紹介してもらう場合が多いです)。

 そして、従業員がうつ病を主張した場合は、その会社指定医の診断を受けてもらったり、これまで通院していた病院の診断記録を提供してもらい、会社指定医にチェックしてもらうのです。

 例えば、投薬治療が継続しているものの、効力の弱い薬が、特に変化することなく同じ分量処方され続けていて、従業員本人に聞いても、なぜこの薬がこの量で処方され続けているのか説明できないなら、本当にきちんとした治療が行われているのか疑問ですよね。

 とはいっても、やはりうつ病は、客観的に(数値や画像などで)症状の有無を判断できない以上、本人がうまく立ち振る舞えば、嘘のうつ病であることを見破ることは難しいでしょう。

そのうつ病は業務上生じたものか

 その場合、次なる問題は、業務外の傷病(いわゆる「私傷病」 私生活上のトラブル、悩みが原因の場合など)か、それとも業務上の傷病か、という点です。

 私傷病であれば、それによって職場に復帰することができないのであれば、解雇することができます。

 しかし、業務上の傷病の場合は、労働基準法19条により、解雇が制限されることになります。会社のせいで(業務上)傷病になったのに、職場に復帰できないからといって、直ちに解雇するとは労働者の利益を不当に害するからです。

 では、業務上の傷病か、私傷病かは、何がポイントになってくるのでしょうか。

 まず、うつ病の原因として典型的に主張されるのがパワハラですが、パワハラによるうつ病として業務上の傷病と扱われることは、意外なことに、そこまで多くはありません。

 というのは、上司の部下に対する業務指導にあたって、常識の範囲内で多少厳しい言葉をかけるのは、よくあることだからです。誰もが、多かれ少なかれ会社で厳しいことを言われている以上、それを即座にうつ病と結びつけてしまう(業務上の傷病と扱ってしまう)わけにはいかないのです。また、実際問題、そのような(パワハラな)発言があったかどうかについて、証拠が残っていないことが多い以上、言った言わないの争いになりがちです。

 その一方、過剰労働は、それがメンタルヘルスに悪影響を与えることは確かですし、IT企業の場合、PCのログイン・ログアウト時間を管理していたり、業務メールの送信時間などから、労働時間が記録に残っている場合が多いです。

 そのため、過剰労働は、うつ病と結びつきやすい(業務上の傷病と扱われる)です。

 というわけで、労働時間が長い社員のメンタル管理は、十分に注意して行う必要があります。

 特に今の時代は働き方改革が叫ばれています。昔ながらの長時間労働では、優秀な人材の採用も難しくなるので、短い業務時間で高い生産性を実現できる業務体制にすることは、必須と言えるでしょう。

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